SDGsの悩ましい課題「トレードオフ」(コーティング肥料を考える)

SDGsは17のゴールと169のターゲットから成り立っています。悩ましいことに、トレードオフの要素をたくさんはらんでいます。
SDGsのトレードオフを考えるために題材を1つ提供します。

化学肥料は食料の増産に大きく貢献しました。しかしながら化学肥料の成分は水溶性です。作物が吸収して栄養にするのはごく一部で、多くは土地を痩せさせ、地下水を汚染し、川や海も汚染しています。

また、水溶性であるため、少量の肥料を何度も施す必要もあり、農業の労働を過酷にしていました。

上記の課題を一挙に解決する手段として登場したのがコーティング肥料です。コーティング肥料は日本の化学メーカーの努力から生まれました。

仕組みは、水溶性の肥料の粒を薄いプラスチックの皮膜で覆い、土中の水分が皮膜を通して内部に入り込み、肥料成分をゆっくりと染み出させるのです。そのため、肥料成分は土に残りにくく、地下水を汚染せず、川や海にも流出せず、施肥の回数も減りました。
たった一つ問題がありました。

肥料が溶け出したあとの殻が土中に残り、田畑を耕した後に水に浮き、川や海に流れ出し、最後はマイクロプラスチックになるのです。
現在メーカーではカプセルの材質の改良・変更を検討していると思います。並大抵の努力では乗り越えられないかもしれません。