プラスチック加飾技術の進展
ここではプラスチックス・ジャパン・ドットコムに執筆した解説のアブストラクトとリンクを掲載します。
プラスチック加飾技術の進展(1)
加飾技術を分類すると塗る,造膜する,貼る,転写する,着色する,表面形状を付与するに分けられる。第1部では塗料による加飾についてまとめた。
塗料は対象物を保護,美観付与,機能付与のために、その表面に塗る材料である。通常は液状であり、乾燥や硬化によって強靭な固体の膜を形成する。本項では、新しい塗料の技術をいくつか紹介する。
はじめに
プラスチックの分野で加飾という言葉が広く使われるようになったのは比較的最近である。従来は塗装やめっきといった個別技術で語ることが多かったが、最近は同じ目的に対して複数の技術的アプローチを比較検討する機会が増えたためと考えられる。
加飾技術の分類
加飾技術を手法で分類すると、塗る,造膜する,フィルム・シートを貼る,箔・インクを転写する,着色する,表面形状を付与するに分けられる。
塗装
塗料は対象物を保護,美観付与,機能付与のために、その表面に塗る材料である。通常は液状であり、乾燥や硬化によって強靭な固体の膜を形成する。
プラスチック加飾技術の進展(2)
金属薄膜を形成する技術
プラスチックの表面上に金属や金属酸化物の薄膜を形成して、金属光沢を付与する加飾技術としてめっき,真空蒸着,スパッタが挙げられる。また、銀鏡塗装はプラスチックの表面上に化学反応によって銀ナノ粒子層を析出させて薄膜形成する技術である。
フィルム加飾
ここではフィルム加飾とは二次元のフィルムやシートを用いてプラスチック成形品表面を加飾する技法を指す。二次元のフィルムを用いて三次元形状に加飾するので、三次元加飾ともいわれる。
フィルム加飾は、フィルム,シートのすべての層がプラスチック成形品に付着している「貼り合わせ」と、フィルム,シートを構成する層の一部のみがプラスチック成形品の表面に付着している「転写」にの二つに大きく分けられる。
フィルム貼り合わせには、フィルムインサート成形(FIM),インモールドラベル成形(IML)のように射出成形と同時に貼り合わせる方法と、成形品に後工程で三次元的に貼り合わせる方法がある。転写には、ホットスタンプ(箔転写),水圧転写,金型内転写がある。
テクスチャー加飾
これまで紹介した加飾技術の多くは何らかの加飾層を持つものであるが、プラスチック成形品そのものの表面形状が質感付与として用いられることもある。言わば加飾しない加飾である。それをテクスチャー加飾と呼ぶ。テクスチャーの表現には金型にシボ加工が施される。図29にシボによって意匠性を付与した成形品を示す。
二色成形を利用した加飾
二色成形で独特の外観を表現する技術も広がってきている。ひとつのパターンとして、シボの上に透明樹脂を積層する方法がある。シボや幾何学的な凹凸の上に透明樹脂の層が存在することで、深みのあるデザインが実現できる。また、縫い糸の形状に本体とは違う色を成形で載せることで、リアリティを持たせる技術もある。図30には縫い目を別な色の樹脂で成形した例を示す。