超臨界流体

プラスチックの微細発泡成形に用いられる物理発泡剤である超臨界流体について解説する。超臨界流体は、液体と気体の両方の性質を持つ流体という説明がされることがあるが、それではわかりにくい。

液体は分子間の距離が近く、分子運動速度が小さい状態であり、気体は分子間の距離が遠く、分子運動速度が大きい状態である。液体の分子間距離を維持しながら温度を上昇させていくと分子運動が盛んになり、分子間距離が近く、分子運動速度が大きい状態になる。気体を圧縮して圧力を上昇させると分子間距離が近く分子運動速度が大きい状態になる。

図1 気体、超臨界流体、液体の分子イメージ

 

このように、液体、気体の両方からたどりつく高温高圧の条件にすると、分子間距離が近く、分子運動が速い状態にたどり着き、もはや液体と気体の区別がつかなくなる。この液体と気体の両方の性質を併せ持った状態を超臨界状態と呼び、その物体を超臨界流体と呼ぶ(図)。また、このような状態が得られる温度,圧力をそれぞれ臨界温度(Tc),臨界圧力(Pc)と呼ぶ。

ポリマーに溶解した後は、例え圧力・温度ともに上記臨界圧力、臨界温度以上になっても、溶解した発泡剤は超臨界状態とはいわない。

図2 超臨界流体の図