専門書籍発刊のお知らせ「現場で使える発泡プラスチックハンドブック」

シーエムシー出版より

「現場で使える発泡プラスチックハンドブック」が発刊されます。

タイトル:現場で使える発泡プラスチックハンドブック

出版:シーエムシー出版

発行:2017年9月8日

著者:秋元英郎(秋元技術士事務所)

体裁:B5版 140ページ

販売価格:21,600円(税込)

出版社のページ → http://www.cmcbooks.co.jp/products/detail.php?product_id=5326

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刊行にあたって

シーエムシー出版からは2015年9月に私の監修による『プラスチック発泡技術の最新動向』が出版され、多くの企業研究者にご活用いただいている。問題点があるとすると、高価な書籍であったという点である。それでも私自身はそれにある程度満足していたのだが、今回シーエムシー出版より全ての章を私ひとりで書いてみないかとの提案を受けた。

今回の企画はタイトル『現場で使える発泡プラスチックハンドブック(Practical Handbook of Plastic Foaming)』にもあるように、研究開発・生産・営業の現場で疑問が生じたときに参照してもらえる内容を目指した。

内容的には、射出発泡成形の比重が高くなっていることはご容赦いただくが、射出発泡以外の発泡成形についても基本的で知っておくべきことは網羅したつもりである。

発泡成形は、プラスチックの成形の過程に発泡工程を含む成形方法であるため、プラスチック材料、発泡剤、成形装置、成形技術、評価技術、シミュレーション技術等の広範囲にわたる技術の集合からなる。また、出来上がった発泡製品の使われ方も多岐にわたる。

第1章では、そもそも発泡体、そしてもっと広義に多孔質体とはどのようなものであるかを解説した。第2章では、発泡成形において非常に重要である発泡剤について解説した。第3章では、各種発泡成形技術について解説した。第3章で解説した発泡成形のうち、不活性ガスを物理発泡剤として用いる射出発泡成形について第4章で詳しく解説し、容積可変の金型を用いて高倍率の発泡体を得るコアバック発泡技術については第5章で詳しく解説した。第6章では発泡体の評価方法について解説した。第7章では発泡成形において非常に重要な気泡の発生・成長について理論的に、しかも難しすぎないように解説した。第8章では射出発泡成形のシミュレーションの現状について紹介した。第9章では実際に使われている発泡製品の例を紹介した。最後に第10章では発泡成形用に設計されたプラスチック素材について解説した。

これらを1冊の本でカバーすることは私にとってもチャレンジであった。私自身がこれを執筆しようと考えた最大の理由は、発泡成形に関する良書が前出の本以外に見当たらなく、これを書き上げることが私のミッションに合致すると確信したことにある。
私のミッションは「優れたものづくり技術を伝え、教え、広めること」であるが、発泡成形は優れた技術であるにも関わらず、そのメリットが正しく理解されておらず、そのメリットを理解していても発泡成形の原理原則を正しく理解していないために欲しい結果が得られていないという事例を多く見てきた。
何事にも共通するが、成功への近道は正しい人から指導を受けることである。この本を手に取った皆さんに対して直接的に教え導くことはできないかもしれないが、この本を通じて発泡成形を正しく理解していただければ嬉しいことであり、もっと詳しく知りたい場合には直接コンタクトしていただいてもかまわない。そして一人でも多くの方が、小さな気泡が持つ大きな力を知り、積極的に活用していただければ幸いである。

2017年8月
秋元技術士事務所 秋元英郎

 

目次

第1章 発泡体・多孔質体
1 発泡体・多孔質体とはどのようなものか
2 自然界に存在する多孔質構造
3 工業的な多孔質体の製造方法
4 発泡体の形態:独立気泡と連続気泡
5 身の回りにある代表的な発泡プラスチック製品
5.1 発泡ポリスチレン
5.1.1 押出法ポリスチレンフォーム(XPS)
5.1.2 発泡スチレンシート(PSP)
5.1.3 発泡スチロール(EPS)
5.2 発泡ポリエチレン
5.3 発泡ポリプロピレン
5.3.1 ビーズ発泡ポリプロピレン
5.3.2 架橋発泡ポリプロピレンシート
5.3.3 非架橋発泡ポリプロピレン
5.3.4 発泡ブローポリプロピレン
5.3.5 射出発泡ポリプロピレン

第2章 発泡成形と発泡剤
1 発泡成形とは
2 発泡剤の種類と特徴
2.1 化学発泡剤
2.2 物理発泡剤
2.3 超臨界流体
2.4 熱膨張性マイクロカプセル

第3章 発泡成形の種類
1 はじめに
2 ビーズ発泡
3 バッチ発泡
4 プレス発泡
5 常圧二次発泡
6 発泡ブロー
7 押出発泡
8 射出発泡

第4章 不活性ガスを発泡剤として用いる射出発泡成形
1 超臨界流体を用いた微細射出発泡成形技術
1.1 微細発泡成形とは
1.2 微細発泡成形と超臨界流体
1.3 バッチプロセスによる微細発泡
1.4 バッチから射出へ
1.5 成形プロセスで行う微細発泡の基本原理
1.6 微細射出発泡成形のための設備
1.7 微細射出発泡成形の利点
1.7.1 軽量化
1.7.2 薄肉化
1.7.3 ソリ・ヒケ解消
1.7.4 寸法精度向上
1.7.5 型締力低減
1.7.6 成形サイクル短縮
1.8 利点を引き出す金型・製品設計
1.9 微細射出発泡成形のトラブルシューティング
1.9.1 ブリスター
1.9.2 後膨れ
1.9.3 スワールマーク
1.9.4 微細射出発泡成形専用の材料
1.10 微細射出発泡成形の用途
1.11 今後の可能性
2 超臨界流体を用いない物理発泡
2.1 非超臨界ガス発泡技術の基本思想
2.2 旭化成のプロセス
2.3 三井化学のプロセス
2.4 宇部興産機械のプロセス
2.5 住友化学のプロセス
2.6 積水化学工業のプロセス
2.7 Sulzer Chemtechのプロセス
2.8 東洋機械金属のプロセス
2.9 Demag Ergotechのプロセス
2.10 日立マクセルのプロセス

第5章 コアバック射出発泡成形
1 コアバック射出発泡成形とは
2 コアバック発泡の種類
3 コアバック発泡のウィンドウ
4 コアバック発泡における気泡生成
5 コアバック発泡における軽量化
6 コアバック発泡における製品外観
6.1 コアバック発泡における外観品質向上の基本的な考え方
6.2 カウンタープレッシャー法
6.3 キャビティコントロールによる外観改良
7 コアバック発泡用材料
8 コアバック発泡用成形機
8.1 直圧式油圧成形機
8.2 油圧タイバーロック式成形機
8.3 型開用機構を別に備えた成形機
8.4 型締とコアバックを別機構にしたハイブリッド成形機
8.5 トグル式成形機

第6章 プラスチック発泡体の評価方法
1 密度と発泡倍率
2 気泡径と気泡径分布
3 独立気泡率・連続気泡率
4 ソリッドスキン層厚み
5 機械特性
5.1 衝撃特性
5.2 曲げ特性
6 断熱性

第7章 気泡の生成と成長
1 発泡成形における気泡の挙動
2 気泡の発生
2.1 過飽和状態
2.2 気泡核生成のドライビングフォース
3 気泡の成長
4 気泡の合一・破裂
5 気泡成長の停止
6 気泡の消失

第8章 発泡成形のシミュレーションの現状
1 はじめに
2 従来の発泡シミュレーション
3 気泡発生・成長を織り込んだCAE
4 Moldex3Dで用いられている理論式
5 解析例
5.1 気泡径解析の例
5.2 反り解析の例
6 今後の課題

第9章 発泡製品の用途
1 はじめに
2 自動車部品
2.1 内装部品
2.1.1 インスツルメントパネル
2.1.2 ドアトリム
2.1.3 サンバイザー
2.1.4 センタークラスター周辺部品
2.2 外装部品
2.3 エンジンルーム部品
2.3.1 HVAC
2.3.2 エンジンカバー
2.3.3 ファンシュラウド
2.4 機能部品
2.4.1 衝撃吸収パッド
2.4.2 エアダクト
2.4.3 ドアキャリア
3 食品容器・包材
3.1 カップ・トレー
3.2 キャップシール
3.3 飲料ボトル
4 輸送・梱包
4.1 緩衝材
4.2 容器
5 電気・電子・電線
5.1 反射フィルム
5.2 電線被覆
6 建材
6.1 断熱材
6.2 畳
7 履物

第10章 発泡用材料の技術動向
1 はじめに
2 ビーズ発泡用材料
3 押出発泡用材料
3.1 押出発泡用ポリプロピレン
3.2 押出発泡用ポリスチレン
3.3 押出発泡用AES樹脂
4 射出発泡成形用材料
4.1 射出発泡成形用ポリプロピレン
4.2 ポリプロピレン用添加剤
4.3 射出発泡成形用ポリアミド