発泡成形の基礎講座(3) 発泡成形の種類

1 はじめに

発泡成形とは、発泡性のプラスチックを成形して多孔質成形品を得る成形方法である。プラスチックに発泡性を付与するために発泡剤が用いられる。ここでは、発泡成形の種類について解説する。

熱可塑性プラスチックの成形工程は「融かす」,「流す」,「固める」の3工程から成る。さらに発泡成形では「気泡が発生する」、「気泡が成長する」、「気泡の成長が停止する」という工程が加わる。

発泡成形を大きく分類すると、固相発泡と液相発泡に分けられる。固相発泡は、「融かす」から「固める」までを先に行い、その後に発泡工程を行う。一方で、液相発泡は「融かす」から「固める」に至る工程と同時進行的に気泡の発生から成長の停止までが起こる。

固相発泡には、ビーズ発泡,バッチ発泡,プレス発泡,常圧二次発泡が挙げられる。液相発泡としては、射出発泡,押出発泡,発泡ブローが挙げられる。

2 ビーズ発泡

ビーズ発泡はいわゆる発泡スチロールの製造に用いられる成形方法として知られており、ポリスチレン以外のプラスチックにも多く用いられている。

ビーズ発泡の特長は形状を自由に設計できることと、高倍率の発泡成形品が得られる点にある。ビーズ発泡の工程は、予備発泡,熟成,成形,養生に分けられる。図1と図2に発ビーズ発泡の製造工程を示した。

ビーズ発泡に用いられるビーズは炭化水素等の物理発泡剤を含浸した小径の樹脂粒子である。発泡剤を含浸させる方法として、ポリスチレンの場合には懸濁重合の際に重合系に発泡剤である炭化水素(ペンタン等)を存在させることで、発泡剤を含んだポリスチレン粒子が得られる。

PPやPEの場合には、あらかじめ用意したミニペレットに水中で炭化水素を含浸させる。

図1 発泡用ビーズの代表的な製造工程

図2 ビーズを用いた発泡成形の工程

予備発泡の工程は、直径1mm程度の大きさに揃えられた発泡剤を含浸したPS,PP,PE等のペレット(ミニペレット)を蒸気加熱により発泡させ、一定の大きさ,一定の比重の発泡ビーズにする工程である。

近年は押出機で溶融させたプラスチックに発泡剤である炭化水素を注入して、ダイから押出して水中でペレット状にカットする方法も提案されている1)。とくに炭化水素を含浸しにくい材料に有効な方法である。

参考文献1によると、汎用の成形用ポリスチレンに押出機中でペンタン等を注入して、水温と水圧を調整してダイ孔から押出してペレットカットすることで、発泡倍率が1.2程度に微発泡した発泡性ペレットを作成し、蒸気加熱によって予備発泡粒子(ビーズ)を得る方法が記載されている。

発泡剤として炭化水素を使わない方法も検討されている2)。参考文献2によると、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート)のペレットを耐圧容器に入れ、4~8MPaのガス(例えば二酸化炭素)に含浸して6%以上溶解させ、圧力を解放することで予備発泡粒子を得る方法が記載されている。

予備発泡の直後は気泡内のガス圧は高いが、冷却されると発泡剤が凝縮するために負圧になる。そこで、熟成工程では気泡内が常圧の空気に置き換わるまで待つのである。

発泡工程では金型に発泡ビーズ入れて蒸気で加熱することで発泡ビーズがさらに膨らみ、融着するとともに、金型キャビティに沿った形状になる。

養生工程では金型から取り出した製品を乾燥するとともに、気泡内部の圧力を整えて寸法精度や強度を一定のレベルに整える。

ビーズ発泡ポリスチレン(発泡スチロール)の緩衝包装材は代表的な用途であるが、ビーズ発泡ポリプロピレンは自動車のバンパー等の衝撃吸収部品、ビーズ発泡ポリエチレンは家電製品の緩衝包装材としても使用されている3)

ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン以外の材料にもポリアミド樹脂の発泡用ビーズ4)、ポリ乳酸の発泡ビーズ5)が提案されている。参考文献4では、ポリアミド6のペレットを高圧容器中で二酸化炭素を含浸させる方法が記載されている。参考文献5では、ポリ乳酸のペレットに高圧化でブタンを含浸させて予備発泡粒子を得る方法が記載されている。

ビーズ発泡は高倍率の成形品が得られるという特長があるが、表面の強度や外観品質に劣るという欠点がある。その欠点を補う方法も検討されている。

例えば、パウダースラッシュ法で成形した表皮を金型に挿入してポリプロピレン等のビーズを成形して積層する方法6)、成形の際の金型温度を200~250℃にすることで、気泡が消失はしていないが気泡径が小さくなっている層(スキン層)を形成する方法も提案されている7)

3 バッチ発泡

バッチ発泡は、実験室レベルでも簡単に行えるため、学術研究で多く用いられている発泡手法であるが、特殊な用途において実生産で用いられている。

予備成形されたプラスチック片を耐圧容器(オートクレーブ)に入れ、発泡剤(超臨界二酸化炭素が多く用いられる)に浸漬して飽和するまで含浸した後、圧力解放あるいは一度取出して加熱によって気泡を発生させる発泡成形法である(図3)。

図3 バッチ発泡の流れ

発泡剤のプラスチックに対する溶解度はガスの圧力が高いほど、温度が低いほど良く溶ける。したがって、飽和させた後に急激な減圧あるいは急激な昇温によって多数の微細な気泡を発生させることができる。

圧力解放によって発泡させる場合は、オートクレーブ中でプラスチックのガラス転移温度(Tg)以上を維持しながら急減圧する。

昇温によって発泡させる場合は、オートクレーブ中でいったんプラスチックのTg以下まで冷却し、ガスが含浸したプラスチックを取出してから急速加熱する。この方法の特長は、大量の物理発泡剤(ガス)を溶解して多数の気泡を発生させることと、Tg付近で発泡させるために気泡の粗大化が避けられて微細気泡が得られる点にある8)

参考文献8では、図4に示すプロセスフローが示されている。すなわち、予備成形されたプラスチックをオートクレーブ中でガスを飽和させ、オートクレーブから取出した後に加温したグリセリン浴中で気泡を生成させ、続いて冷水に浸けて気泡の成長を停止させる流れが示されている。図5は参考文献8に示された微細な発泡体の断面写真である。

図4 米国特許4473665に記載されている超臨界流体によるバッチ発泡プロセス

図5 米国特許4473665に記載されている発泡プロセスで得られた発泡体断面写真

バッチ発泡が量産品の生産に用いられている具体的な例として、光反射用微細発泡シートが挙げられる。図6には特許文献に記載されたPEN発泡体の断面写真を示した。実施例によると、厚み0.5mmのPEN樹脂を約6MPaの二酸化炭素に7日間浸漬した後に取出し、180℃で1分間加熱して微細発泡体を得ている。この方法により表面にごく薄い未発泡層を持つ反射率の高いシートが得られる9)

図6 バッチ発泡法によるPEN樹脂発泡体の断面写真

4 プレス発泡

プレス発泡は靴底の成形等で良く用いられる発泡成形法である。原料プラスチックと化学発泡剤,架橋剤,架橋助剤を低温でミキシングロール等の混練手法によって混合したシートを作成しておく。この時点では化学発泡剤,架橋剤は分解していない。そのシートを加熱プレスの金型内に入れて架橋を進行させながら発泡を行う。

架橋と発泡のタイミングが非常に重要である。プレス発泡法で成形された発泡体の用途としては、履物のクッション層等が挙げられる。

5 常圧二次発泡

PP,PE等のプラスチックに化学発泡剤、架橋剤、架橋助剤を混ぜながら押出してシート化し、次工程で電子線架橋や化学架橋したシートを製造しておく。架橋シートを加熱炉で発泡させることで発泡シートが得られる。高倍率で柔軟性,復元性,耐熱性に優れるシートが得られ自動車内装表皮材のクッション層や自動車の天井材10)などとして使用されている。

6 発泡ブロー

ブロー成形にはプラスチックを押出機で押出したパリソンを金型に挟んで空気圧で膨らませる押出ブロー成形と射出成形で成形した試験管形状の成形品(プリフォーム)を加熱延伸した後に膨らませる射出延伸ブローがあり、発泡技術との組合せが行われている。

押出発泡ブロー成形は発泡性プラスチックを押出した気泡を含んだ円筒形状のパリソンを対になった金型で挟んだ後に空気圧で中空形状に成形する。最近では断熱性を活かして自動車空調用のダクトに採用された例もある。

図7に特許文献に記載されたダクトの形状と製品断面の気泡形状を示す11)

図7 発泡ブロー成形による自動車用ダクトの例
左:ダクトの外観形状、右:断面の気泡形状

射出延伸ブローで発泡成形品を得る方法としては、窒素を溶解させたPET樹脂を金型内加圧(カウンタープレッシャー)した状態で射出成形することで、気泡やスワールマークが存在しないプリフォームを成形し、そのプリフォームを延伸ブローの加熱工程で発泡させて発泡容器とする方法が知られている12)

7 押出発泡

押出発泡成形は発泡性プラスチック(発泡剤を混合したプラスチック)を押出機で押出す成形方法であり、ダイで断面形状を決め、ダイから出たプラスチックが発泡する。図8、図9には押出発泡成形の装置例を示した13,14)

図8 押出発泡成形の装置例(特開2003-292662より引用9))
(1)液化二酸化炭素ボンベ,(2) 定量ポンプ,(3) 保圧弁,(4) 冷媒循環器
(5)ヒーター,(6) 流量計,(12) ホッパー,(13) スクリュー,(16) T-ダイ,(17) 発泡シート,(18) 冷却ロール,(19) 押出機

図9 タンデム式押出発泡成形装置の例(特開2001-206969より引用)
(1)液化二酸化炭素ボンベ, (2)定量ポンプ, (3)保圧弁, (4)冷媒循環器
(5)ヒーター, (6)流量計, (7)第1押出機, (8)第2押出機, (9)連結部
(10)ダイス, (11)発泡シート, (12)ホッパー, (13スクリュウ, (14冷却装置、(15)プランジャーポンプ

図8、9ともにはボンベで供給される二酸化炭素を発泡剤として使用している。発泡剤の溶解速度は溶融プラスチックの温度が高い方が速いが、ダイから出るときのプラスチックの温度は低い方が好ましいため、図9のタンデム式押出発泡装置を使う場合には後段の押出機の温度設定を低くする。図8のように一段の場合、押出機のL/Dを長めに設計して、下流で溶融プラスチックの温度を下げられるようにする。

気泡の生成はダイを溶融プラスチックが流れる際の圧力降下によるため、ダイ形状が非常に重要である。そのために一度流路を狭めた後に広げる方法が提案されている(図10)15, 16)

図10 ダイにおける圧力を調整して良好な気泡状態を得るためのダイの構造例

ダイから出た後は大気に触れるため、それほど厚いスキン層は生成しないが、ダイの形状を工夫し、ダイ内で徐々に冷却することでスキン層を持たせている例もある17)

押出発泡は薄肉製品から厚肉製品まで広く対応できる成形方法である。薄肉製品例としては食品トレーの成形に用いられるポリスチレンシート(PSP)が挙げられる。図11にPSPの製造工程概要を示した。PSPの場合には丸ダイが用いられる。

図11 発泡スチレンシート(PSP)の製造工程

厚肉製品の例としては、住宅の断熱材として用いられる押出法ポリスチレンシート(XPS)が挙げられる。図12にXPSの製造工程の概要を示した。肉厚で高倍率の発泡シートを得るために、マルチストランドダイ(図12)も用いられている18)

図12 押出法ポリスチレンフォーム(XPS)の製造工程

8 射出発泡

射出発泡成形とは射出成形のプロセスにおいて発泡性を持った溶融プラスチックを金型内に射出充填することによって気泡構造を持った成形体を得る成形技術である。使用する発泡剤の種類によって射出成形機を発泡成形用にモディファイすることが必要になる。

成形用プラスチックに発泡性を付与する方法には大きく分けて2つの方法がある。1つは、発泡剤を含んだプラスチックを原料として用いる方法、1つは成形機の中でプラスチックと発泡剤を混ぜる方法である。

発泡剤を含んだプラスチックには物理発泡剤が含浸されたプラスチックである場合と、プラスチックと発泡剤(化学発泡剤やマイクロカプセル)が混合された場合がある。これらのケースでは、通常の射出成形機がそのまま使用できる。

成形機の中で溶融プラスチックと発泡剤を混ぜる方法は特に不活性ガスを発泡剤として用いるときに使用され、射出成形機に発泡剤を注入するための機構を持った専用の射出成形機が必要になる。

参考文献19によると、耐圧容器中で30℃以下かつ6.5MPa以下の条件でプラスチックペレットに二酸化炭素を含浸(0.2~2.9%)含浸させ、容器から取出したプラスチックペレットを速やかに既存の射出成形機に投入して成形することで発泡成形品が得られることが記載されている19)

二酸化炭素の含浸にはおよそ1日要し、溶解量は重量増加分の測定から求める。ポリカーボネート、ポリプロピレンを用いて成形した例では、気泡径が30~200μmで比重低減率が15~18%の発泡成形品が得られている。二酸化炭素は非晶領域のみに溶解するので、半結晶性(例えばポリプロピレン)あるいは非結晶性(例えばポリカーボネート)のプラスチックに適用可能な方法である。

発泡剤として化学発泡剤やマイクロカプセルを用いる方法では、成形材料であるプラスチックと発泡剤をドライブレンドで成形機に投入することで、成形機内部でプラスチックと発泡剤が混合されて発泡成形品が得られる方法である。

このプロセスは特殊な設備が不要であり通常の射出成形機がそのまま使用できる(厳密にはシャットオフノズルが有る方が良い)ため、簡単に発泡成形をテストするには向いている。一方で発泡剤の材料コストは無視できないレベルである。

物理発泡剤を用いる場合には、物理発泡剤(例えば窒素、二酸化炭素)の注入設備が必要であるとともに、注入された物理発泡剤が上流(ホッパー側)に逆流しないような特殊なスクリュー構造は必要になる。注入口をバレルに設ける場合は、計量によるスクリュー後退が起こるため、計量ストロークに制限ができる。

射出発泡成形にはショートショット法とフルショット法がある。ショートショット法は金型キャビティ容積よりも少ない容量の溶融プラスチックを射出し、気泡の拡大の力を使いながら充填が進む成形方法である。図13にはショートショット法の充填イメージを示した。

図13 射出発泡成形におけるショートショット法

射出成形機から射出されて金型のキャビティに流れ込んだ溶融プラスチックはゲートを通過した後に圧力解放されて気泡が生じる。気泡の拡大分が金型キャビティ容積に不足する分を補ってキャビティを完全充填させる。ショートショット法で得られる軽量化の効果は製品形状・金型形状に依存するが、概ね10%程度である。

フルショット法は、金型キャビティ容積と等しい体積の溶融プラスチックを金型キャビティ内に充填し、固化収縮分を気泡の発生・拡大で補う考え方の発泡成形方法である20,21)

イメージ図を図14に示した。特に厚肉製品(例えば事務机の肘掛)におけるヒケ防止で用いられる手法であり発泡剤の添加量は少量にして表面にスワールマーク(シルバーストリーク)が発生しない条件で成形を行う。フルショット法では軽量化の効果が小さく3~5%程度である。

図14 射出発泡成形におけるフルショット法

射出発泡成形の代表的な用途としてストラクチュアルフォームが挙げられる。ストラクチュアルフォームは古くから使われている構造部材用発泡成形品である。一般的に射出発泡による成形品は金型に接触した部分に気泡が存在しないソリッドスキン層を形成し、ソリッドスキンに挟まれる形で発泡コア層を形成する。図15にはストラクチュアルフォームの断面のモデル図を示した。

図15 一般的な射出発泡成形品の断面構造

射出発泡成形において、金型内における溶融プラスチックの流動は前述のように気泡の拡大に助けられるため、金型内圧力がそれほど高くならず、型締力が小さくて済む。ストラクチュアルフォームの設計上の利点は、ソリッド成形品よりも軽い、大型製品に対応可能、厚肉製品も可能、金型コストが安価、ヒケが目立たない等の点である。ソリッドに比べた製品の利点としては、剛性と重量のバランスが良い、製品のひずみが小さい、断熱性に優れる、遮音性に優れる、電気絶縁性に優れる等が挙げられる。

ストラクチュアルフォームの欠点は製品表面に気泡に由来する流れ模様(スワールマーク)が生じる点であるが、充填時に金型内をガスで加圧しておく(ガスカウンタープレッシャー)ことでスワールマークを解消することも行われている。

射出発泡成形の応用としてコアバック法が知られている。前述のようにショートショット法による発泡成形では製品形状にもよるが、概ね10%程度の軽量化にとどまる。
コアバック法は一度キャビティ内を樹脂で満たした後に、キャビティ容積を拡大させて発泡させる方法である(図16)。この方法では1.5~6.0倍程度の比較的高い発泡倍率が可能になる。コアバック法は自動車のドアトリム、ドアキャリア、エンジンカバー等の成形に用いられている。

図16 コアバック発泡における金型動作の例

1) 特開2013-136688
2) 特開2013-67740
3) 特開2005-239000
4) 特開2011-105879
5) 特開2011-213968
6) 特開平11-953
7) 特開2013-256059
8) 米国特許4473665
9) 特開2003-145657
10) 特開2002-137305
11) 特開2009-241528
12) 特開2014-218259
13) 特開2003-292662
14) 特開2001-206969
15)   特許第3655436号
16) 特開2008-137391
17) 特開2003-266522
18) 特開2008-127872
19) 特開2006-328319
20) 特開平6-100722
21) 特開2004-300260

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